はじめに
インフルエンザ感染症については、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性の呼吸器感染症です。特に冬季に流行しやすく、日本では毎年約1千万人が感染しています。インフルエンザワクチンは重症化リスク低下と予防効果があり、日本では皮下注射が行われてきました。今年発売となったフルミストは、インフルエンザ予防のための新しいタイプのワクチンで、従来の注射型とは異なる特徴を持っています。
フルミストの投与方法
フルミストは、注射ではなく鼻から噴霧する形で投与します。両方の鼻の穴に0.1mLずつの液体を吹きかけるます。
フルミストの対象年齢と接種回数
臨床試験の結果から2歳から18歳までの子どもと若者が対象で、年に1回の接種で済みます。効果は1年間続くといわれています。注射だと2〜3ヶ月で効果が減ってきて5ヶ月程効果が続きます。また、経鼻弱毒化生ワクチンと不活化ワクチンの直接比較した研究はありませんが予防効果は同等といわれています。フルミストの注意点注射と異なる点をあげます。
フルミストの仕組み
生ワクチンの特性フルミストは弱毒化された生きたウイルスを使用しています。これにより、鼻の粘膜で局所的な免疫反応を引き起こし、インフルエンザウイルスの侵入を最前線で防ぐ効果が期待できます。
フルミストの副反応
注射部位の痛みや腫れはありませんが、鼻水や軽い風邪のような症状が出ることがあります。これは、ワクチンウイルスが鼻の粘膜で増殖するためです。風邪症状も一週間以内に一定数認めます。重篤な副作用は少ないとされますが、アナフィラキシーショックなどの可能性はないとはいえません。
フルミストの副反応添付文書に書いてある投与したあとに起きる可能性のある反応です。
10%以上: 鼻閉・鼻漏(59.2%)、咳嗽、口腔咽頭痛
1〜10%未満: 鼻咽頭炎、食欲減退、下痢、腹痛、発熱、活動性低下・疲労・無力症、筋肉痛、インフルエンザ様症状(接種後数日でインフルエンザと診断されることあり)
1%未満: 発疹、鼻出血、胃腸炎、中耳炎頻度不明: 顔面浮腫、蕁麻疹、ミトコンドリア脳筋症の症状悪化
フルミストの注意点
・基本生ワクチン接種と4週間あける
・ゼラチン、卵アレルギーは注意・重度の喘息も注意
・ウイルスを排出して他の人への感染の可能性のため、1〜2週間免疫不全や乳児、妊婦へ接触、妊娠を避ける
・妊婦はダメ・アスピリン、ジクロフェナクナトリウムは飲まない
まとめ
フルミストは、鼻から投与することで自然感染に近い免疫反応を引き起こし、より広範囲のウイルス株に対する防御効果が期待できます。また、注射か嫌いな子供にとっては、ストレスの少ない選択肢となります。フルミストは、インフルエンザ予防の新たな選択肢として注目されていますが、個々の状況に応じて適切な判断が必要であり、医師と相談するのが望ましいでしょう。
当院でインフルエンザワクチン接種をご希望の方は、受付にてご確認をお願いいたします。なお、在庫がない場合はお取り寄せとなり、後日の接種になる可能性がございますので、あらかじめご了承ください。
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