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医療豆知識

コレステロール・中性脂肪が高い原因は?数値を下げる食事と治療法

健康診断で「悪玉コレステロール」や「中性脂肪」が高いと言われたけれど、どこも痛くないからと放置していませんか?

脂質異常症は、自覚症状が全くないまま血管の老化を進め、将来の心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気の原因になります。

この記事では、日々の内科診療で患者さんからよく受けるご質問をもとに、脂質異常症の原因や正しい基準値、今日からできる数値を下げる食事や運動、そして「お薬は本当に必要なのか」まで、医師が医学的根拠に基づいてわかりやすく完全解説します。

結論:コレステロール・中性脂肪が高いと言われたらどうする?

健診で異常を指摘された際、最も重要なポイントは以下の3つです。

  • 決して放置しない: 症状がなくても血管へのダメージは確実に進行しています。

  • 生活習慣の見直しから始める: 特に中性脂肪は、数週間の食事や運動の改善でみるみる数値が下がりやすい特徴があります。

  • 必要に応じて内科を受診する: 基準値を大きく超えている場合や、他の病気(高血圧・糖尿病など)がある場合は、自己判断せず早めに医療機関へご相談ください。

そもそも「脂質異常症」とは?悪玉・善玉って何?

以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、現在は「脂質異常症」という名称が使われます。これは、脂質は単純に「高い=悪い」だけでなく、「低すぎても問題になる」ためです。血液中の主な脂質には以下の3つがあります。

  • LDLコレステロール(悪玉): 肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割があります。増えすぎると血管の壁に入り込み、動脈硬化を直接進める「主犯格」です。

  • HDLコレステロール(善玉): 余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す役割です。少なすぎる状態も問題となります。

  • 中性脂肪(トリグリセライド:TG): エネルギーの貯蔵形態です。中性脂肪そのものが直接詰まるわけではありませんが、動脈硬化に関与するリポタンパクの増加と関連しています。増えすぎると「善玉(HDL)を減らし、悪玉(LDL)を血管の壁に入り込みやすい小型で悪質なサイズ(small dense LDL:超悪玉)増加と関連すること」と関連しており、裏で悪玉を操る“厄介な共犯者”のような働きをすることが知られています。

【医師からの補足】

最近では、LDLコレステロールだけでなく、総コレステロールから善玉(HDL)を引いた「non-HDLコレステロール」という指標も、動脈硬化のリスクを評価する上で非常に重要視されています。

健康診断の基準値と異常の目安

ご自身の健診結果と照らし合わせてみてください。(空腹時採血の場合)

検査項目基準値(正常範囲)脂質異常症の診断基準
LDLコレステロール60〜119 mg/dL140 mg/dL以上 (※120〜139は境界域)
中性脂肪(TG)30〜149 mg/dL150 mg/dL以上
HDLコレステロール40 mg/dL以上40 mg/dL未満
non-HDLコレステロール90〜149 mg/dL170 mg/dL以上 (※150〜169は境界域)

放置するとどうなる?リスクと本当の怖さ

脂質異常症の最大の特徴は「無症状」であることです。

しかし、血管の中では静かに動脈硬化が進行します。余分なLDLコレステロールが血管壁に蓄積すると「プラーク」というお粥のようなコブが形成されます。これが何かの拍子に破裂すると、そこに血栓(血の塊)ができ、血管が完全に詰まってしまいます。

これが心臓の血管で起きれば「心筋梗塞」脳の血管で起きれば「脳梗塞」といった重大な病気につながります。また、中性脂肪が極端に高い状態(500mg/dL以上など)を放置すると、激痛を伴う「急性膵炎(すいえん)」を引き起こすリスクもあります。

なぜ数値が上がるのか?原因とよくある誤解

脂質異常症は、必ずしも肥満の方だけの病気ではありません。コレステロールと中性脂肪では、数値が上がる原因が少し異なります。

  • LDLコレステロールが上がる原因: お肉の脂身やバターなどの「飽和脂肪酸」のとりすぎが大きな原因です。また、遺伝の影響を強く受けるほか、女性では閉経に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の低下により、食生活が変わらなくても数値が急上昇します。

  • 中性脂肪が上がる原因: 「糖質のとりすぎ(ご飯、パン、麺類、甘いもの)」と「アルコールの飲みすぎ」がダイレクトに影響します。

  • 共通の原因: 運動不足は中性脂肪を増やし、善玉(HDL)を低下させます。また、甲状腺機能低下症や糖尿病など、他の病気が原因で二次的に脂質が上がることもあります(続発性脂質異常症)。

すぐできる改善方法!エビデンスに基づく食事と運動

お薬に頼る前に、まずは日々の生活を見直すことが基本です。特に中性脂肪は「昨日の食事や最近の運動」が数値に素早く反映されるため、努力が裏切らない項目です。

  • 脂の「質」を変える(主にLDL対策): 飽和脂肪酸(お肉の脂身など)を減らし、不飽和脂肪酸(オリーブオイルなど)に置き換えましょう。また、市販の菓子パンや加工食品に含まれる「トランス脂肪酸」も控えることが重要です。

  • 糖質とお酒を控える(主に中性脂肪対策): 夕食の炭水化物を少し減らす、お酒は適量(日本酒1合、ビール中瓶1本程度)にして週に2日は休肝日を設けるだけで、中性脂肪はみるみる改善します。

  • 青魚(EPA・DHA)を食べる(両方に効果): サバやイワシなどの青魚は中性脂肪を下げ、心血管イベントを抑制する効果が示されています。

  • 水溶性食物繊維: 大麦(もち麦)やオートミール、海藻類、納豆や豆腐などはLDLを低下させる作用があります。

  • 運動と禁煙: ウォーキングなどの有酸素運動(週150分以上が目安)は、中性脂肪を燃焼させ善玉(HDL)を増やすのに非常に有効です。タバコは血管を傷つけ動脈硬化を促進するため、禁煙は必須です。

薬は必要?治療方針の考え方

ここが非常に重要なポイントですが、脂質異常症の治療は「数値が基準を超えたからすぐに薬を飲む」というように、数値だけで一律に決まるわけではありません。

患者さんの年齢、高血圧や糖尿病の有無、喫煙歴などを総合し、日本人のデータに基づいた動脈硬化リスク評価(吹田スコアや久山町研究など)を用いて、「その人が将来病気を起こすリスク」を算出して治療の必要性を判断します。同じ数値でも、治療の必要性は人によって異なります。

薬について

  • スタチン(主にLDLを下げる): LDLコレステロールを低下させ、心筋梗塞などを予防する効果が確立しています。筋肉の症状や肝機能の異常といった副作用が出る方も一定数いますが、多くはお薬の変更や量の調整によって安全に使用できる薬です。

  • フィブラート系薬やイコサペント酸などのEPA製剤(主に中性脂肪を下げる): 食事や運動で改善しない高トリグリセライド血症に対して使用されます。

よくある質問(FAQ)

Q. コレステロールが高いので、卵は控えるべきですか?

A. 現在、食事からとるコレステロールが血液中の数値に与える影響は比較的小さいとされています。そのため極端に制限する必要はありませんが、個人差があり影響を受けやすい体質の方もいるため、バランスの良い食事を心がけることが重要です。

Q. 健診前日にお酒を飲んだり、食事を食べすぎたりすると影響しますか?

A. 中性脂肪は、直前の食事やアルコールの影響を極めて強く受けます。正しい数値を測るためには、採血前10〜12時間は食事を控え、前日のアルコールも避けるのが理想的です。(※LDLコレステロールは直前の食事の影響をあまり受けません)

Q. やせていても脂質異常症になりますか?

A. はい、なります。コレステロールの高さは体型よりも、遺伝的体質や加齢(閉経など)、女性ホルモンの変化による影響を大きく受けます。

Q. 薬は一度飲み始めたら、一生やめられないのでしょうか?

A. 生活習慣の改善によって数値が安定すれば、薬を減らしたり中止できる方もいらっしゃいます。ただし、遺伝的要因や加齢が原因の場合は、安全のために継続が必要なケースも多いです。自己判断で中止せず、主治医と相談しながら治療を進めることが大切です。

まとめ

脂質異常症は無症状のまま進行しますが、適切な生活習慣と治療により十分にコントロール可能です。

しかし、適切な食事、適度な運動、そして必要に応じたお薬の治療によって、動脈硬化の進行は十分に防ぐことができます。 健康診断で異常を指摘された方は、決して自己判断で放置せず、まずは一度、お近くの内科クリニックへご相談ください。

あなたが長く健康な血管で人生を楽しめるよう、丁寧にサポートいたします。


書いた人

石井優

資格
日本内科学会:認定内科医・総合内科専門医
日本消化器病学会:専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会:専門医・指導医
日本肝臓学会:専門医
日本腹部救急医学会:教育医
日本膵臓学会:認定指導医
日本胆道学会:認定指導医
がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修終了
医学博士


いしい医院 内科・消化器内科

総合内科専門医・消化器病学会専門医・消化器内視鏡学会専門医・肝臓学会専門医・リウマチ専門医

住所:〒140-0015 東京都品川区西大井3-6-17
電話番号:03-3771-3933
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時間
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