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医療豆知識

【医師が解説】アイスクリーム頭痛とは?かき氷で頭がキーンとなる原因・治し方・予防法・危険な頭痛との違い

夏になると、かき氷やアイスクリーム、冷え切った飲み物を口にした瞬間に、頭が「キーン!」と痛くなった経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

あの独特の頭痛は、医学的にも「アイスクリーム頭痛(Ice Cream Headache)」と呼ばれ、多くの人が日常的に経験する一時的な症状として知られています。

一方で、痛みが強いあまり「脳の血管がおかしくなったのでは?」「危険な頭痛が隠れているのではないか」と不安に感じる方や、「予防できるなら防ぎたい」と疑問を持つ方も少なくありません。

この記事では、最新の国際的な頭痛ガイドラインや、実際に報告されている医学論文の知見をもとに、アイスクリーム頭痛の原因や治し方、予防のコツについて詳しく解説します。また、放置してはいけない「危険な頭痛」や「熱中症による頭痛」との見分け方についても、内科医の視点から具体的にお伝えします。

【10秒でわかる!】アイスクリーム頭痛の要点(本文でより詳しく解説しています)

  • ​原因:冷たさによる「血管の急激な反応」と「三叉神経の勘違い」です。
  • ​今すぐ治す方法:冷たいものを食べるのを止め、「舌の腹を上あご(口の天井)に押し当てる」と和らぎます。
  • ​予防法:「ゆっくり少しずつ食べる」ことで発症率が半減します(研究で証明済み)。
    ​※通常は数分で治まりますが、長く続く場合や激しい痛みは別の病気の可能性があるため医療機関を受診してください。

「アイスクリーム頭痛」は正式な病気なの?

「アイスクリーム頭痛」という名前は、ただの俗称や冗談のように聞こえるかもしれません。しかし、実は医学的に認められた正式な頭痛の一つです。

世界中の頭痛専門医が診断の基準としている『国際頭痛分類 第3版(ICHD-3)』という公式なガイドラインがあります。この中で、アイスクリーム頭痛は「寒冷刺激による頭痛(Cold-stimulus headache)」というカテゴリーの中に、「冷たいものの摂取または吸入による頭痛」として明確に分類されています。

このガイドラインによる診断基準は、主に以下のようになっています。

  • 冷たい食べ物や飲み物を口に含んだとき、または飲み込んだ直後に頭痛が起こる
  • その冷たい刺激を取り除くと、通常は短時間で痛みが完全に消える
  • ほかの深刻な脳や神経の病気が原因ではない

つまり、冷たいものを食べたときに限定して起こり、すぐに治まるのであれば、それは国際的にも「アイスクリーム頭痛」という立派な診断になります。決してあなたの気のせいでも、異常な病気のサインでもありません。

アイスクリーム頭痛とは?

アイスクリーム頭痛とは、冷たい食べ物や飲み物を食べた直後に起こる、数十秒〜数分で自然に治る一時的な頭痛です。

前述の通り、医学的な正式名称は「冷たいものの摂取または吸入による頭痛」や「寒冷刺激による頭痛」ですが、一般向けには「Ice-cream headache(アイスクリーム頭痛)」という名称も広く使われています。英語圏ではブレインフリーズ(Brain freeze)と呼ばれることもあります。

これらには、痛む場所や頻度、時間に関する明確な特徴があります。

どれくらい多い?誰でもなるの?

台湾で8,359人の中高生を対象にした研究では、全体の約40%の人がこの頭痛を経験していると報告されています。対象は中高生ですが、アイスクリーム頭痛が決して珍しい症状ではないことを示す代表的な研究です。

痛む場所

痛む場所は、主に「前頭部(おでこ)」や「こめかみ」の辺りです。口の中が冷えているにもかかわらず、頭の前のほうが痛むのが特徴です。

痛み方

ズキッとする痛みや、突き刺さるような「キーン」とした鋭い痛みを感じます。

何秒くらい続く?

痛みの持続時間については、数ある頭痛の中でも「非常に短い」のが特徴です。
冷たい食べ物や飲み物を口に入れてから、数秒で痛みが始まり、多くは30秒以内に痛みのピークに達します。その後、通常は数分以内(ほとんどの場合は数十秒〜5分以内)に痛みが自然に消失します。

アイスクリーム頭痛の原因

では、口の中が冷えただけなのに、なぜ頭が痛くなるのでしょうか。

すべての始まりは、冷たい食べ物や飲み物が「口蓋(こうがい:上あごの奥の部分)」や喉の奥に直接触れることです。この部分は、温度や痛みを感じる神経が非常に敏感に集まっている場所です。

現在有力なのは、冷刺激に伴う血管反応と三叉神経(さんさしんけい)の活性化が痛みに関与するという考え方です。顔や口の中の感覚を脳に伝える三叉神経が、急激な冷たさを感知して活性化し、それと連動する血管の収縮・拡張反応が痛みを引き起こすのではないかと考えられています。

また、冷たい刺激が三叉神経を通って一気に脳へ送られる際、脳が情報処理を間違え、同じ三叉神経の管轄である「おでこやこめかみが痛い」と勘違いしてしまう「関連痛(かんれんつう)」も関わっているという説があります。

2019年の包括的なレビュー論文でも示されている通り、実際にはこれら複数の機序が複合的に関与していると考えられています。ただし、その詳細な仕組みは完全には解明されていません。

アイスクリーム頭痛は片頭痛の人に多い?

「普段から頭痛持ちの人は、かき氷で頭が痛くなりやすい」という話を聞いたことがあるかもしれません。これは医学的なデータからも事実であることが分かっています。

2003年に行われた先述の調査や、1997年に英国医学雑誌(BMJ)に掲載された論文でも、普段から片頭痛を持っている人は、そうでない人に比べてアイスクリーム頭痛を経験する割合が明らかに高いという結果が出ています。

片頭痛持ちの方は、もともと三叉神経の痛みセンサーが刺激に対して過敏になりやすいため、冷たいものによる急激な温度変化に対しても敏感に反応し、頭痛を起こしやすいと考えられています。

ただし、「冷たいものを食べて頭痛が起きると、そのまま重い片頭痛の発作につながってしまうのでは?」と心配する必要はありません。アイスクリーム頭痛が引き金となって片頭痛が悪化することは極めて稀であり、痛みが引いた後に脳や神経にダメージが残ることはありません。

片頭痛について知りたい方はこちらのコラムを参照ください。

アイスクリーム頭痛の治し方

もし、かき氷を食べていて頭が痛くなってしまったら、どうすれば早く治るのでしょうか。薬などは一切必要ありません。以下の簡単な方法で、痛みを早く鎮めることが期待できます。

冷たいものを食べるのをやめる

痛みが来そうだなと感じたら、まずはスプーンを置き、冷たいものを口に入れるのをストップしてください。無理して食べ続けると、神経への刺激が続いて痛みが長引いてしまいます。

舌を上あごにつける(温める)

痛みが始まったら、自分の「舌の腹」や「親指」を、上あご(口の天井部分)にぴったりと押し付けてください。
頭痛の引き金は上あごの急激な温度低下であるため、自分の体温を利用して上あごを温めることで症状が和らぐことが期待されます。

温かい飲み物を飲む

手元に常温のお水や温かいお茶があれば、それを少し飲んで口内や喉の温度を速やかに中和させてください。
これらの対処法をとれば、数十秒から数分で痛みは自然に引いていきます。

予防方法

治し方以上に大切なのは「予防」です。食べ方を少し工夫するだけで、痛みを効果的に防ぐことができます。

ゆっくり食べる

2002年に英国医学雑誌(BMJ)に掲載された、カナダの中学生145人を対象とした研究があります。
この結果、「急いで食べたグループ」の27%が頭痛を発症したのに対し、「ゆっくり食べたグループ」では発症率が13%へと半減しました。このことから、「ゆっくり食べることで発症頻度を減らせる可能性」がランダム化比較試験で示されました。

一気に飲み込まない

ストローで冷たい液体を流し込むと、最も敏感な上あごの奥を直撃するため頭痛が起きやすくなります。少しずつ口に含むようにしましょう。

口の中で少し温める

かき氷やアイスクリームを口に入れたら、喉の奥へ流し込む前に、口の前のほう(舌の先の方)で少し転がし、冷たさを和らげてから飲み込むようにしてください。

冷たすぎる液体を避ける

頭痛になりやすい人は、キンキンに冷えた飲み物を一気飲みするのは控えた方が無難です。

子どもはなりやすい?

夏休みになると、お祭りやプールサイドで子どもたちが冷たいものを食べる機会が増えます。
子どもでもアイスクリーム頭痛は頻繁に起こります。特に子どもは、冷たいものを手に入れると勢いよく食べてしまう傾向があるため、大人よりも経験する機会が多いかもしれません。
一時的なものであれば全く心配いりません。「ゆっくり食べようね」「痛くなったら舌を上あごにくっつけてごらん」と優しく教えてあげてください。

アイスクリーム頭痛で病院を受診する目安

「かき氷を食べて頭が痛くなったから」という理由だけで医療機関を受診する必要はありません。通常は数分で自然に痛みが消えるため、痛み止め(鎮痛薬)も不要です。

しかし、「いつものアイスクリーム頭痛とは違う」「数分経っても全く痛みが引かない」といった場合は注意が必要です。その痛みの原因は、かき氷ではなく、たまたま同じタイミングで発症した別の病気かもしれません。

危険な頭痛との違い

日常診療において、頭痛の中には「命に関わる危険な病気」が隠れていることがあります。アイスクリーム頭痛と、くも膜下出血などの危険な頭痛には以下のような明確な違いがあります。

特徴アイスクリーム頭痛危険な頭痛(くも膜下出血・脳出血・髄膜炎など)
痛みの持続時間数十秒〜数分以内症状が続くことが多く、改善しない、または悪化する
きっかけ冷たいものを食べたり飲んだ直後突然起こる(人生最悪の頭痛)、または原因なく発症することがある
経過数分以内に自然に治る自然に治らない、時間とともに悪化することがある
その他の症状基本的に頭痛のみ意識障害、ろれつが回らない、手足の麻痺、けいれん、発熱、首の硬直、繰り返す嘔吐などを伴うことがある

冷たいものを食べた時以外にも頭痛がある場合や、上記のような危険なサインがみられる場合は、脳卒中や髄膜炎などの可能性が高いため、ためらわずに医療機関を受診、あるいは救急車を呼んでください。このような症状が一つでもあれば、一刻も早い診断と治療が必要です。

夏に注意したい「熱中症の頭痛」との違い

夏季に特に注意が必要なのが熱中症による頭痛です。「かき氷を食べた後の数分の頭痛」と、「暑い環境で過ごした後の長引く頭痛」は、原因も対処法も全く異なります。

熱中症の頭痛は、体内の水分や塩分が失われ脱水症状を起こしたり、体温の異常な上昇によって引き起こされます。

  • 冷たいものを食べていないのに頭が痛い(ズキズキ、ガンガンする)
  • 数分では治まらず、持続する
  • めまい、立ちくらみ、強い倦怠感(だるさ)を伴う
  • 吐き気や嘔吐がある

これらの症状がある場合は、涼しい場所へ移動し、経口補水液などで水分・塩分をしっかり補給してください。それでも症状が改善しない場合は、早めに受診してください。

熱中症についてはこちらのコラムを参照ください。

よくある質問(FAQ)

Q.アイスクリーム頭痛は病気ですか?

A.国際頭痛分類(ICHD-3)にも掲載されている正式な頭痛ですが、一時的な良性の頭痛であり、通常は後遺症を残すことはありません。

Q.かき氷を食べるたびに毎回頭痛になりますが、脳に異常があるのでしょうか?

A.冷たいものを食べた直後に毎回起こり、数分以内に治まるのであれば、多くはアイスクリーム頭痛です。上あごの神経が冷たい刺激に反応している生理的な現象と考えられます。ただし、痛みが長引くなど症状が異なる場合は、医療機関を受診してください。

Q.妊婦でもなりますか?

A.妊娠中でも起こります。妊娠中はホルモンバランスの変化で頭痛を感じやすい方もいますが、アイスクリーム頭痛そのものが胎児へ悪影響を及ぼすという報告はありません。

Q.アイスクリーム頭痛は遺伝しますか?

A.直接的な遺伝のメカニズムは証明されていませんが、片頭痛など頭痛の起きやすい体質は家族内で似ることがあるため、親がなりやすいと子どももなりやすい傾向は見られます。

Q.毎回なる人とならない人の違いは何ですか?

A.冷たい刺激への感受性や、食べるスピード、口蓋への刺激の受け方などには個人差があります。三叉神経の過敏さや、冷たい刺激に対する血管の反応の強さも影響すると考えられています。

Q.コーヒーフラッペでもなりますか?

A.はい、なります。ストロー等で冷たい液体が一気に上あごに当たるため、一部の研究では、固形のかき氷よりも冷たい液体の方が頭痛を誘発しやすい可能性が示されています。

Q.冷凍フルーツでもなりますか?

A.冷凍フルーツでも上あごが急激に冷やされれば同様に起こります。少し溶かしてから食べるか、ゆっくり噛んで食べることをおすすめします。

Q.子どもがアイスクリーム頭痛を起こした場合、鎮痛薬を飲ませた方がいいですか?

A.薬は必要ありません。長くても数分で自然に治まるため、飲み薬が胃で溶けて効き始める頃には、すでに痛みは消えています。

まとめ

アイスクリーム頭痛は、数十秒から数分で自然に治まる一時的な頭痛です。
原因は、冷刺激に伴う血管反応と三叉神経の活性化などが複合的に関与していると考えられています。
痛くなったら、舌を上あごに押し当てて温めることで、症状が和らぐことが期待されます。
予防するには「少しずつ、ゆっくり食べる」「一気に飲み込まない」ことが推奨されます。
普段から片頭痛がある人は起こりやすいことが分かっています。

冷たいものが美味しい季節。体のメカニズムを知り、予防法を取り入れながら、夏の味覚を安全に楽しんでください。

当院(西大井・品川区)では内科全般の診療を行っています。お気軽にご相談ください。

参考文献

本記事の執筆にあたり、以下のガイドラインおよび医学論文を参照しています。

1. Headache Classification Committee of the International Headache Society (IHS). The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition. Cephalalgia. 2018;38(1):1-211.
2. Fuh JL, Wang SJ, Lu SR, Juang KD. Ice-cream headache—a large survey of 8,359 adolescents. Cephalalgia. 2003;23(10):977-981.
3. Kaczorowski M, Kaczorowski J. Ice cream evoked headaches (ICE-H) study: randomised trial of accelerated versus cautious ice cream eating and prevention of headaches. BMJ. 2002;325:1445.
4. Bird N, MacGregor EA, Wilkinson MI. Ice cream headache–site, duration, and relationship to migraine. BMJ. 1997;314:1364.
5. Ziegeler C, May A. Cold Stimulus Headache. Curr Neurol Neurosci Rep. 2019;19(8):54.


書いた人

石井優

資格
日本内科学会:認定内科医・総合内科専門医
日本消化器病学会:専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会:専門医・指導医
日本肝臓学会:専門医
日本腹部救急医学会:教育医
日本膵臓学会:認定指導医
日本胆道学会:認定指導医
がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修終了
医学博士


いしい医院 内科・消化器内科総合内科専門医・消化器病学会専門医・消化器内視鏡学会専門医・肝臓学会専門医・リウマチ専門医 住所:〒140-0015 東京都品川区西大井3-6-17
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時間
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