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医療豆知識

節分の豆は何歳から?5歳以下の窒息リスクと回避術・もしつまったときの対処法

はじめに

2月といえば節分です。鬼のお面をかぶったお父さんに豆を投げたり、恵方巻を頬張ったりと、家族団らんで過ごす予定の方も多いのではないでしょうか。

しかし、楽しい節分にまさかの事故が起きることがあります。それは、節分の豆による窒息・誤嚥(ごえん)事故です。恵方巻でも報告があり注意が必要です。

豆くらいで大げさなと思われるかもしれません。しかし、実際に豆によって、救急搬送されるお子さんがいらっしゃいます。

今回は、最公的データや医学的な知見に基づき、なぜ節分の豆が危険なのか、もしもの時にどうすればよいのかを、解説します。楽しい行事を悲しい思い出にしないために、ぜひ最後まで目を通してください。

子供の窒息はどのくらい搬送されているの?

東京消防庁の報告では、令和2年から令和6年までのわずか5年間で、5,285人もの5歳以下の子どもが、窒息や誤飲で救急搬送されています。 これを1年あたりにならすと約1,000人。つまり、毎日およそ3人の子どもが、東京のどこかで救急車で運ばれている計算になります。これは決して他人事と言える数字ではありません。

事故は生後7ヶ月頃から急増し、生後9ヶ月でピークを迎えます。 また、搬送された子どものうち13.4%(10人に1人以上)は4〜5歳児が占めています。 原因の4分の1は食べ物です。搬送原因の第1位は「食品」で、全体の24.4%を占めます。

https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/nichijo/children_tissoku.html

一般的な窒息リスクのある食品

一般的な窒息リスクのある食品も知っておくといいでしょう。ある論文では、窒息リスクのある食品を報告しています。食品としては日本の餅、スペインのナッツ、アメリカのホットドッグなどの報告があります。一般的には、大きすぎる食べ物の塊、丸くて滑りやすい食べ物 、円筒形の食べ物または輪切りの食べ物 (ホットドッグ、ニンジン)、硬い食べ物 (キャンディー、一部の果物)、粘着性のある食べ物、繊維質の食べ物、または圧縮可能な食べ物 (ケーキ、パン) などがリスクともいわれています。

参考文献:Risk factors and prevention of choking. Eur J Transl Myol. 2023 Oct 27.

豆は何歳から?

結論としては 節分の豆やナッツ類は、5歳以下の子どもには食べさせないほうがよさそうです。

以前は慣習的に3歳までは控えましょうといわれることが多かったため、3歳が解禁だったというご家庭も多いはずです。

また、2021年、消費者庁は「硬い豆やナッツ類は5歳以下の子どもには食べさせないで」という注意喚起を打ち出しました。

厚生労働省の調査(人口動態調査)によると、平成26年から令和元年までの6年間に、食べ物を喉に詰まらせて亡くなった14歳以下のお子さんは80名にのぼります。 その内訳では、亡くなった80名のうち、約9割にあたる73名が5歳以下でした。

医学的に見ても、5歳以下の子どもには窒息しやすい理由が存在します。最大のリスク要因は、噛んで飲み込む力の未熟さです。 この時期の子どもは、まだ奥歯が生えそろっていなかったり、硬いものを十分に噛み砕く咀嚼力が完成していません。

大人が無意識に行っている細かく砕いて、唾液と混ぜて、喉の奥へ送るという作業がうまくできないため、豆やナッツのような硬い食品がそのままの形で気道へ入り込んでしまいます。その結果、気道を塞いで窒息したり、肺の奥に入って重篤な肺炎を引き起こしたりするケースがあります。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_047/

日本小児科学会も同様に、ナッツ類や豆類は気道に入ると非常に危険であるとして、早期からの摂取を控えるよう提言しています。

子供を窒息から守る方法と対策を動画でも紹介していますので、ぜひ一度見てください。

https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=123

気道の狭さ 子どもの気道(空気の通り道)は、大人に比べて驚くほど細いです。大豆一粒の大きさでも、スポッとはまり込めば、完全に息ができなくなってしまいます。

「ながら食べ」のリスク 節分はイベントです。興奮して走り回ったり、鬼を見て泣き叫んだり、兄弟で笑い合ったりしながら豆を口にします。「驚く」「泣く」「笑う」といった動作は、息を大きく吸い込む瞬間です。このタイミングで口の中に豆があると、そのまま気管へと吸い込まれてしまうのです。

こんな症状があったらすぐに受診を

もし、お子さんが豆を食べた後に以下のような様子が見られたら、迷わず救急車や救急外来を利用しましょう。

突然激しく咳き込む。息をする時に「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音がする。声がかすれる。顔色が悪い。呼吸が苦しそう(鎖骨の上や肋骨の間がペコペコへこむ呼吸)

まずは予防(豆以外も)

5歳以下には与えないもの

そしゃく機能が未熟な5歳以下の子どもには、以下の食品を与えないようにします。

  • 硬い豆・ナッツ類:ピーナッツ、節分の豆、枝豆など。気道に入ると油分で化学性肺炎を起こすリスクがある。

  • 硬く噛み砕きにくい食品:生のニンジンやリンゴの大きな塊など。

  • 粘着性が高く、唾液を吸収して飲み込みづらいもの:餅やパンなど

4等分のルール

丸くてツルッとした食品は、そのまま飲み込むと喉に蓋をしてしまいます。

  • ミニトマト・ブドウ(巨峰など):4歳以下には4等分にカットして与えることが推奨されています。(半分に切っただけでは、まだ気道を塞ぐサイズです)

  • ウズラの卵、さくらんぼ:これらも同様に小さく切る必要があります。

食事中の「姿勢」と「環境」

何を食べるかだけでなく、どう食べるかも重要です。

  • 歩き食べ、遊び食べをさせない:転倒した拍子や、驚いた拍子に吸い込んでしまう事故が多い。

  • 食事中に泣かせない・笑わせない:激しく息を吸い込むタイミングを作らない。

節分でもし豆が詰まったら?対策方法

予防が第一ですが、万が一、目の前でお子さんが豆を喉に詰まらせてしまったらどうすべきか。先ほど紹介した日本小児科学会のサイトがおすすめですが、東京消防庁のサイトも参考になります。動画があるので参照してください。

https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/contents/inochi-emergency/contents01_1.html#beginning

最重要項目

  • すぐに119番通報を:窒息状態は数分で心停止に至る危険があります。処置を始めるのと同時に、大声で助けを呼び、誰かに119番通報を頼んでください。

  • 口の中に指を突っ込まない :見えない異物を指で探って取ろうとすると、かえって奥へ押し込んでしまい、気道を完全に塞いでしまう恐れがあります。明らかに口の手前に見えている場合以外は、指を入れないでください。

  • 意識がなくなったら心肺蘇:呼びかけても反応がなくなったり、ぐったりして呼吸をしていない場合は、異物除去の手技を中止し、直ちに心肺蘇生(胸骨圧迫・人工呼吸)を開始してください。

窒息は時間との勝負です。まず、119番通報を誰かに頼みます。 その上で、救急隊が来るまでの間に以下の処置を行います。

1歳未満(乳児)の背部叩打法

赤ちゃんの場合は、大人の腕や太ももを使って体を支えながら行います。

  1. 姿勢を作る

    • 救助者は椅子に座るか、膝を立てます。

    • 片方の腕(または太もも)の上に、赤ちゃんをうつ伏せに乗せます。

    • この時、赤ちゃんの頭が胸よりも低くなるように少し角度をつけます。

    • 片手で赤ちゃんのあごや胸をしっかりと支え、首がグラグラしないように固定します。

  2. 背中を叩く

    • もう片方の手のひらの付け根(手掌基部)を使います。

    • 赤ちゃんの背中の真ん中(左右の肩甲骨の間)を、力強く、速く5回叩きます。

    • もし異物が出ない場合: 背中を叩いても出ない場合は、赤ちゃんを仰向けにし、「胸部突き上げ法(心臓マッサージと同じ位置を指2本で押す)」を5回行います。これを交互に繰り返します。

1歳以上(幼児・小児)の背部叩打法

体が大きくなってきたお子さんの場合は、後ろから支えるか、膝の上に乗せて行います。

  1. 姿勢を作る

    • お子さんの後ろに回ります。

    • 片手でお子さんの胸や下あごを支え、前かがみの姿勢にさせます(頭を低くするため)。

    • (お子さんが小さい場合は、救助者の太ももの上に乗せてうつ伏せにしても構いません)

  2. 背中を叩く

    • もう片方の手のひらの付け根を使います。

    • お子さんの背中の真ん中(左右の肩甲骨の間)を、力強く、連続して5回叩きます。

    • もし異物が出ない場合 :背中を叩いても出ない場合は、「腹部突き上げ法(ハイムリック法)」を行います。後ろから抱きかかえ、みぞおち付近を握りこぶしで手前上方へ突き上げる方法です。これを交互に繰り返します。

節分を安全に楽しむための代替案と食事の工夫

「危険だから節分は中止」としてしまうのは味気ないですよね。リスクを回避しながら楽しむ方法はたくさんあります。

投げる用と食べる用を分ける

豆まきは「個包装された豆」を袋のまま投げましょう。これなら衛生的ですし、散らばった豆を子どもが拾い食いするリスクも減らせます。 また、投げるものを豆ではなく、個包装のたまごボーロなど乳幼児用お菓子にするのも良いアイデアです。

食べるなら「豆」以外のものを

5歳以下のお子さんには、大豆の代わりに以下のようなものを検討してください。

たまごボーロ: 口どけが良く安全です。

小袋のお菓子: 子どもが好きなスナック菓子などを「年の数だけ」用意するのも楽しいでしょう。

恵方巻にも注意が必要

豆ばかりに目が行きがちですが、実は「恵方巻」も窒息リスクが高い食品です。 海苔(のり)は噛み切りにくく、喉に張り付きやすい食材です。さらに、具材が詰まった太巻きを一気に頬張るのは危ないので、お子さんやお年寄りが食べる場合は、一口サイズに切ってから提供しましょう。一気に食べるルールは適用せず、よく噛んでゆっくり食べるようにしてください。健康と安全には代えられません。

恵方巻はこちらを参照ください。

まとめ

節分は、子どもたちの成長を願う大切な行事です。だからこそ、その行事が原因で子どもが傷つくようなことはあってはなりません。豆やナッツは5歳以下には食べさせない。6歳以上でも、食べている時はふざけさせない。迷わず救急要請してください。

今年の節分が、皆さんのご家庭にとって笑顔あふれる、そして何より「安全な」一日となることを願っています。


書いた人

石井優

資格
日本内科学会:認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会:専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会:専門医・指導医
日本肝臓学会:専門医
日本腹部救急医学会:認定医
日本膵臓学会:認定指導医
日本胆道学会:認定指導医
がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修終了
医学博士


いしい医院 内科・消化器内科

総合内科専門医・消化器病学会専門医・消化器内視鏡学会専門医・肝臓学会専門医・リウマチ専門医

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電話番号:03-3771-3933
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時間
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